最近の園芸専門誌を眺めていて、ちょっと面白い言葉を見つけた。「インドアグリーン新時代」。
観葉植物、シダ、そしてコケをガラス容器の中で育てる「コケテラリウム」。屋外の庭ではなく、部屋の中にどう緑を持ち込むか、というテーマが今、園芸の世界でひとつの大きな潮流になっているらしい。
主役は「ビカクシダ」と「コケ」
いま注目を集めているのが、ビカクシダ(コウモリラン)と呼ばれる着生植物。
名前の通り、鹿の角のような、あるいはコウモリの翼のようなユニークな葉を広げる姿が特徴で、鉢に植えるのではなく板や流木に着生させて壁面に飾るスタイルが人気を呼んでいる。
土に植える従来の観葉植物とは違う、インテリアとしての新しい見せ方が支持されている印象だ。
そしてもう一つの主役が、コケテラリウム。
ガラス容器の中に小さな地形をつくり、そこにコケや小型のシダを配置していく、いわば「箱庭」ならぬ「瓶庭」だ。
水やりの頻度が少なく、限られたスペースでも完結する育てやすさが、忙しい都市生活者にちょうどよくハマっているようだ。
みんなが気になる「コバエ問題」
ただし、この手の室内グリーンには、必ずと言っていいほどついて回る悩みがある。コバエだ。
「植物を部屋に置くとコバエが湧く」というイメージを持つ人は多いが、実はこれは植物そのものが原因ではない。
多くの場合、正体は「キノコバエ」という種類の虫で、鉢の中の有機質の土や、じめじめと湿った環境で卵から孵化して発生する。
つまり、植物ではなく「土の環境」が原因、というのがポイントらしい。
対策としてよく挙げられるのは、こんな方法だ。
- 土の表面を乾かし気味に管理する(過湿を避ける)
- 有機質の少ない、無機質な用土(鹿沼土やパーライトなど)に切り替える
- ヒノキやヒバなど、コバエが嫌う香りの精油スプレーを併用する
- 食虫植物(ハエトリグサやモウセンゴケなど)を一緒に植えて“天然の捕虫器”にする
特に最後の「食虫植物と一緒に育てる」というアイデアは面白い。コバエを薬剤で殺すのではなく、テラリウムの中の生態系として組み込んでしまう発想は、なんとも理にかなっている。
光を選ぶ時代になった
もう一つ、最近の室内グリーン事情で見逃せないのが「植物育成用LEDライト」の存在感の高まりだ。
日当たりの悪い部屋でも、LEDライトを使えば観葉植物やシダ、コケを元気に育てられる。以前は一部のマニアの道具というイメージもあったが、種類や選び方に関する情報が一般の園芸メディアでも特集されるようになってきたということは、それだけ「日当たりに関係なく緑を楽しみたい」というニーズが広がっている証拠なのだろう。
庭がなくても、緑はつくれる
こうして見てみると、今のインドアグリーンのトレンドは「庭がない人のための園芸」というより、「部屋という限られた環境を、どうデザインするか」という一つの表現方法になりつつある気がする。
ビカクシダを壁に這わせ、ガラス瓶の中にコケの森をつくり、LEDライトで光を補う。庭仕事とはまったく違う手つきだけれど、そこにあるのは同じように「小さな自然を手元に置いておきたい」という気持ちだ。
コバエ対策さえクリアしてしまえば、玄関先やデスクの片隅に、自分だけの小さな森を持つのも悪くない。







